Who Is The Sky?

Who Is The Sky?

デイヴィッド・バーンが2018年にリリースした前作『American Utopia』は、単なるアルバムではなく、音楽とミュージカル、そしてそのパフォーマンスの魔法を捉えた映画を網羅した壮大なマルチメディア作品だった。実際どれほど壮大かと言えば、その年表に2019年末のブロードウェイでの初演から、コロナ禍の規制解除後の2021年に再開されるまでの長い沈黙期間が含まれるほどだ。「パンデミックの間、もちろん、新しい曲を書きたかったけど、僕に書ける曲のテーマよりも現実に起きていることの方が重大なような気がした」と、バーンは予期せぬ空白期間についてApple MusicのZane Loweに語る。「そして、それに対処する方法がよく分からなかった」 ソロ名義での8作目となるアルバム『Who Is The Sky?』の収録曲は、柔軟な音楽性を誇るGhost Train Orchestraと共にレコーディングされた。作品には直接的にパンデミック期の産物ではないものの、そこにさかのぼる糸口やテーマが存在する。「新しくできた曲の中に、そこから生まれたものがあることに気付いた」と彼は付け加える。最も明白なのは、自分の住居への賛歌「My Apartment Is My Friend」で、バーンはその物理的な空間とどれほど親密になったかを振り返る。「So forgive me if I hesitate, if a tear comes now and then(許してほしい、言葉に詰まっても、時に涙を流しても)」と、彼は歌う。「You stood by me when darkness fell/My apartment is my friend(闇に包まれたとき、そばにいてくれた/僕のアパートは、友達だ)」 バーンには常に、具体的な事柄、さらには幻想的なものさえも普遍的に感じさせる才能がある。「Moisturizing Thing」は、ハリウッドのSF映画のような曲で、バーン自身が主人公として登場。そこで彼はアンチエイジングの皮膚治療を試みた結果、幼児にまで逆戻りし、他人の目を通して世界を見ることを余儀なくされるという物語。他にも本作での彼は、次々と自分自身に対して問いを投げ掛ける。例えば、「I Met the Buddha at a Downtown Party」では笑顔でオードブルをむさぼる宗教教育者を疑問に思い、「The Avant Garde」では歴史の中で自分が置かれた立ち位置を考え、「She Explains Things to Me」においては、妻がなぜそんなにも自然に物事を理解できるのか不思議に思う。さらに、「Everybody Laughs」では、人生とは幸せと痛み、探求と解決のサイクルだと捉えてみせる。そしてそれらすべてを、遊び心、品格、そしてありのままに人生を肯定する喜びをもって描き出す。その輝きは好奇心や独創的なひらめきを失ったことのない、成熟したミュージシャンならではだ。