

2024年の夏、カナダが誇るロックレジェンドのブライアン・アダムスは自身のレーベルBAD Recordsを立ち上げ、意外性のある1作目を発表した。それはキッスのアルバム『Creatures Of The Night』(1982年)にアダムスが提供した2曲を、彼自身がラフにレコーディングしたダブルAサイドシングルだった。この作品はハートランドの語り部やジーンズ姿のバラードシンガーとしての顔の奥に、アダムスが本質的にはハードロッカーであることを改めて印象づけるものとなった。彼の荒々しいスピリットは本作『Roll With The Punches』のタイトル曲で鮮明に響き渡る。ザクザクとしたギターリフ、力強いミッドテンポのリズム、そしてアリーナを沸かせるようなコール&レスポンスのリフレインが、1980年代半ばのアダムス黄金期を鮮やかによみがえらせる。 16作目となる本アルバムは、アダムスの普遍的なストーリーテリングと衰えることのないエネルギーを具現化する。特徴的なハスキーボイスはジャングルポップ調の「Make Up Your Mind」、オルガンが響くソウルナンバー「A Little More Understanding」、いかがわしい路地裏のブルース「How’s That Workin’ For Ya?」などで本領を発揮している。ロマンチックな一面も健在だ。結婚式のスローダンスにぴったりな「Two Arms To Hold You」、そして切なくノスタルジックなラスト曲「Will We Ever Be Friends Again」で感傷的な光を放っている。