Monica

Monica

アルバムのリリース間隔に関していえば、前作『Jackman.』から本作『Monica』までの3年間は、Jack Harlowのキャリアにおいて最も長いブランクとなった。彼は2025年3月にApple Musicのインタビューに応じた際、この異例の休止期間についてこう説明している。「自分を超越しようとしているんだ。これまでやったことのないことをやりたい。だから、もし今までのどの作品とも違うものを作ろうとするなら、これまでのどのプロジェクトよりも時間がかかることになるんだろうって、少しずつ受け入れ始めているところなんだ」。その間に、ケンタッキー州ルイビル出身の彼は生活の拠点を故郷からニューヨークへと移した。グリニッジ・ヴィレッジにある伝説的スタジオ、Electric Lady Studiosで4作目のアルバムのレコーディングを開始した。 環境の変化が影響したのか、あるいは心境の変化だったのかもしれないが、『Monica』では、かつて少年っぽさの残るラッパーだったHarlowが、官能的なR&Bシンガーへと姿を変えている。この作品でHarlowはラップから完全に距離を置き、愛とその複雑さをテーマにしたムーディなソウルグルーヴへと身を委ねている。思索的なカサノヴァのように、彼はしばしば夢想の中に迷い込む。「Prague」では大西洋の向こうにいる思い人に心をはせて夢想にふけり、「Trade Places」では、恋人が寄りかかっている街灯そのものに自分がなり変わることを夢見る。そのサウンドにはハモンドB-3のオルガンが鳴り、ジャズドラムがムードを作りだす。情熱は次第に高まり、やがて事態は複雑になっていくが、それでもHarlowが絶望的なロマンチストであることは変わらない。「All Of My Friends」ではこう歌う。「All of my friends say I keep falling/Falling in love way too often/Telling me slow down and be cautious.(友だちはみんな言うんだ/俺はいつも恋に落ちすぎだって/もっとゆっくり、慎重になれって言われるんだ)」と。だが彼は続ける。「But if I had you…(でも、もし君がいてくれるなら…)」と。

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